那覇と名護を結ぶ「沖縄鉄軌道」の現状と課題
那覇〜名護を1時間で!沖縄鉄軌道の最新状況と立ちはだかる「1の壁」
沖縄本島を南北に縦断し、那覇市と名護市をわずか1時間程度で結ぶ「沖縄鉄軌道」の構想が注目されています。
かつて沖縄には「軽便(ケービン)」の愛称で親しまれた県営鉄道がありましたが、戦争で失われてしまいました。現在は深刻な交通渋滞を解消する切り札として期待されていますが、実現には大きな課題も残されています
渋滞解消への期待と「C派生案」ルート
沖縄は全国でもトップクラスの車社会であり、渋滞による経済損失は年間約1455億円にものぼると試算されています。
この問題を解決するため、2018年には「C派生案」という推奨ルートが選定されました。
このルートは那覇市を出発し、浦添市、宜野湾市、北谷町、沖縄市、うるま市、恩納村を経て名護市に至るものです。
単に移動を速くするだけでなく、主要な都市や観光地を縦につなぐことで、地域全体の発展を目指しています。
実現を阻む最大の壁「B/C」とは?
計画を進める上で最大の壁となっているのが、事業の効率性を示す「B/C(費用便益比)」という指標です。これは、鉄道を作るコストに対して、社会全体がどれだけ得をするかを数字にしたものです。
一般的にこの数字が「1」を超えないと、国からの予算がつきにくく、事業化は難しいとされています。
2026年8月に発表された最新の調査では、最高でも「0.85」にとどまっており、依然として「1」の壁を突破できていません。建設費が最大で1.1兆円を超える巨額になることも、この数字を押し下げる要因となっています。
2026年度は事業化への「重要な局面」
現在、沖縄県は単なる構想から一歩進み、事業化できるかどうかを数字で厳しく検証している段階にあります。
2026年度には「導入効果等検討業務」が実施されており、2027年3月までかけて、最新の需要予測やルートの再検証が行われる予定です。
玉城デニー知事は、全線を一気に作るのではなく、まずは利用者が多い区間から作る「先行整備」という手法も検討し始めています。
また、駅から先の移動を支えるシャトルバスや自動運転車といった「フィーダー交通」との連携も、採算性を高める鍵として議論されています。
まとめ
沖縄鉄軌道は、渋滞解消や地域の発展のために多くの県民が待ち望んでいるプロジェクトです。しかし、1兆円規模の建設費や採算性の壁は高く、現時点で「建設決定」とは言えません。2027年春に出される検証結果が、夢の鉄道実現に向けた大きな分岐点になりそうです。
【注目ポイント】
今後は、国が新幹線の整備などで用いている「B/C(費用便益比)以外の評価指標」が沖縄の特殊事情に適用されるかどうかが焦点になりそうです。また、知事が示した「一部区間の先行整備」が具体的にどの区間になるのか、その際の採算性がどう変化するのかにも注目が集まります。駅から観光地をつなぐ2次交通の充実も、鉄道の需要を左右する重要な要素として引き続き動向に注目していきます。


